着物保管(カビ編)一覧

着物保管(カビ編)

 

細菌やウィルスのように、空気中に浮遊していたり、壁にくっついていたり、地面や取っ手、今触っているマウスや、キ-ボードにカビ菌はついています。目に見えると恐ろしいくらいかもしれません。衣服に付くカビも人体に影響は及ぼさないにしても、衣服を台無しにしてしまいます。高価な着物が、カビにやられ、着られなくなった事例は山ほど見ました。本当に悲しいお話です。そこらじゅうににいるカビ菌を、ではどうすればいいのかを考えて行きたいと思います。

 

私は、すべてのカビ菌を殺して、いなくするのではなく、うまく付き合っていく、というか、カビ菌をなるべく増殖させないようにすればいいのではないかと思っています。

衣服につくカビ菌のことを少し調べてみました。カビの活動条件は、湿度、温度、酸素、栄養となる物質があることです。人間が生きていくのに必要なものばかりですね。湿度は50%以上、温度は25〜30°C、酸素、養分。快適な人間の生活環境が、カビを増殖させるんですね。では、どううまく共存していくか。

 

カビ繁殖の四大条件の一つ、栄養分です。カビは、タンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂肪、糖分を栄養としています。衣服に着く、カビの栄養分として考えられるのは、垢、フケ、皮脂、食べ物の付着、などでしょうか。カビの栄養分を付着させたまましまってしまうのは、カビを繁殖させるためにしまってしまうことになります。全てとは言えませんが、カビの栄養分は取り除いて、しまうことが適切です。

 

さて、カビの繁殖四大条件のその他の三つです。もう一度整理すると、酸素、湿度、温度です。これを排除することは不可能ですね。ただ、適切な状態にすることはできるかもしれません。

湿度を考えてみますと、タンスに除湿剤を入れたり、タンスを風通しの良い、ジメジメとしたところを避けて置いたり、湿気をこもらせない工夫をすることです。湿気をこもらせないために、タンスを定期的に開けておいたりする工夫もひとつです。

 

着物にカビが一面についていたお客様の事例をひとつご紹介します。そのおうちは北側が少し山になっていて、風通しが少々悪く、湿気は気になる御宅でした。タンスは日の当たらない北側に置いてあり、温度的にはお家の中でも比較的あがらないところでした。ただ、風通しが悪く、湿気が多く、着物をしまう時は、多少の陰干しだけでした。数年後に着物を出して、びっくり。一面カビでした。カビ繁殖の栄養分が残っていたんですね。それと、湿度が関係して、カビを繁殖させてしまったのだろうと思います。しまう時の洗いは大切です。

 

カビを漢字で書くと、「黴」。バイキンを漢字で書くと、「黴菌」。カビは元々不潔なものをあらわしていたのかもしれません。何度も繰り返しにはなりますが、カビが発生する条件をなるべくなくしてしまえば、カビの発生の可能性は低くなります。カビの栄養となるものを取り除き、温度を上げない、湿度を上げないようにすれば、カビの発生は抑えられます。

 

カビとはどういうものか。カビの発生を考えてみます。空気中にさまよっている胞子(種子みたいなもの)が、着物にくっついています。胞子は、ミクロの大きさなので、目には見えないものです。その胞子は、カビ発生の四大条件によって、植物のように根を張っていきます。着物についた栄養分、十分な湿気、適度な温度、酸素によってどんどん根を張っていきます。そして、何十倍もの根を張り、成長した頃にやっと人間の目に見えます。その時にはもうカビを取り除くことは不可能になっているかもしれません。

また、カビは、高温や紫外線には、弱いのです。かと言って、直射日光を着物に当ててはいけません。変色や、色焼けの原因になります。ただ、引き出しや、たとう紙は、日光に当てても問題ありません。むしろ、虫干しの時は、引き出しやたとう紙は、しっかりと紫外線に当てて、殺菌をするべきかもしれません。

 

カビは、湿気を好みます。カビが付いたからと、濡れた布でカビを落とそうとすると、逆効果です。カビを落とすどころか、カビを繁殖させてしまいます。

 

お客様との話し。まだ着たことのない新しい喪服を出したら、一面カビだったそうです。ふわふわの白っぽいカビで、払ったら、着れたのでそのままご使用されたとのこと。初めて着る喪服で、出番がなかったから(頻繁に出番があっても困るのですが…)、ずっと引き出しの下にそのままになっていたらしい。その喪服の上には、こびりついたカビの生えた着物がずっとおいてあったとのことでした。袖を通していない着物にもカビが生えるんですね。確かに胴裏とか、布をシャキっとするために糊付けしてあるものがあります。その糊が、カビの栄養になるんですね。虫干し、点検、着物の順番替え、風を通すこと、など年に一度はしたほうがいいですね。(ここでも、虫干しの重要性が出てきました。)

 

カビを取ろうとして、水を使うと、カビは喜びます。カビが余計に増える可能性があります。

確かに、シミには、水溶性の物質や油性の物質など様々あり、水は水で落とし、油は油で落とします。ので、シミを取るために水を使わないということはありません。水をつけるときちんと乾かします。カビを発生させない状態にします。優しく、ゆっくりと乾かします。この作業を丁寧にしないと輪ジミになったりします。シミとカビとごちゃまぜに書いていますが、言いたいことは、着物についているそのものが何かを追求せずに、短絡的に水で取ろうとすると、危険が待ち構えているということです。

 

シミやカビを家庭でも手に入るベンジンを使って、取ろうとした場合を考えてみます。結論的に言うと、おすすめはしません。生地を痛めたり、色抜けの原因になったりします。色が抜けると、たとえ1cmの色が抜けても、着られないことになるかもしれません。専門家にまかせたほうがいいですね。

シミを作らないということは、カビを発生させないということです。

  つまり、1.カビの発生栄養素の排除、2.適度な湿度を保つこと、3.適度な温度管理で、カビの発生を極力抑えることができると考えます。

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